こんにちは!オンライン話し方教室【ボイスプロデュース】代表講師の福永智樹です。
私も以前はあがり症で悩んでいました。人前で話す機会を極力少なくしたり、本番では身体と声が震えることもありました。しかし、あがり症や緊張の仕組みを知り、改善方法を取り入れたことで、克服することができました。そして今では、話すこと自体が仕事になっています。
昔の私のように、あがり症で困っている人に是非実践して頂きたい改善方法をお伝えしていきます。
あがり症について理解しよう
あがり症を克服しようとする前に、そもそもあがり症とは何なのか、人前でなぜ緊張してしまうのかなど、あがり症について理解しておきましょう。
あがり症とは?
あがり症の代表的な症状には、このようなものがあります。
・顔が真っ赤になる
・胸がドキドキする
・手足が震える
・声が上ずる、震える
・お腹が痛くなる
・めまいがする
・吐き気がるす
・汗を大量にかく
また、「あがり症」という言葉を辞書で引くと、下記のようになります。
人前で極度に緊張しやすい質 (たち) であること。
出典元:デジタル大辞泉
緊張すること自体があがり症ではなく、「極度に」緊張することがあがり症ということですね。
あがり症を改善する上で大切なことは、全く緊張しない自分になることではなく、緊張しても大丈夫な自分になることであると、私は考えています。
緊張のメカニズム
人はどのように緊張するのでしょうか?緊張のメカニズムについて説明します。
人は緊張や不安によりストレスを感じると、「ノルアドレナリン」という神経伝達物質が体内に分泌されます。ノルアドレナリンは自律神経の交感神経を活性化させるので、心拍数が上がったり、発汗や手足の震えなどの症状が起こります。
これは人間に昔から備わっている防衛本能ですが、身体はとても活発な状態にあります。
これは悪いことなのでしょうか?
緊張はあなたの敵ではない
交感神経が活性化され、副交感神経よりも優位になると、人の身体は活発になり、やる気に満ち溢れた状態になります。
それとは逆に、副交感神経が活性化され、交感神経よりも優位になると、身体に力が入らず、睡魔に襲われた時と同じような状態になります。
簡単にまとめると次のようになります。
緊張している=交感神経が優位=身体が活発に動く状態
緊張していない=副交感神経が優位=眠くなった状態
いくら緊張したくないからと言って、これから人前で話すという時に、眠くなった状態だとどうでしょうか?あなたの伝えたいことは相手に伝わるでしょうか?
おそらく聞き手は、「やる気がないの?」「心に響かない」「眠くなってしまう」と感じるでしょう。
これからは、緊張することに対して、下記のように考え方・捉え方を変えていきましょう。
緊張する→逃げ出したい→上手く話せない
↓↓↓↓↓↓
緊張する→やる気が出てきた→上手く話せる
大切なことは、緊張を抑えることではなく、緊張を受け入れることです。
人前で楽に上手に話す方法
ここからは、あがり症を克服し、人前で楽に上手に話すための具体的な方法をお伝えしていきます。全てを同時に取り入れるのではなく、あなたがやってみたいと思う方法からチャレンジしてみてください。
身体をリラックスさせる
極度に緊張して身体に余計な力が入りすぎると、とても話しづらくなります。身体をリラックスさせていきましょう。
腹式呼吸をする
腹式呼吸は身体をリラックスさせる効果があります。
具体的な方法としては、息を吸った時にお腹を膨らませ、吐く時にお腹がへこむようにします。この息を「フ〜」と吐く時に時に力を抜くことがとても大切です。
仰向けに寝た状態で行うと、簡単にできるはずです。
※この腹式呼吸は特別な技術ではありません。人はリラックスした状態の時は自然に腹式呼吸になっていますので、焦らずゆっくりと取り組みましょう。
また、慣れてきたら、吐く息の音を「ス〜」に変え、長く一定に吐いてみましょう。
※腹式呼吸を動画で確認!
首と肩のストレッチをする
運動をする前のように体全体のストレッチを行うことで、リラックスさせることができます。
ラジオ体操のようなものでも構いませんが、時間がない時は下記のストレッチを優先的に行いましょう。
●首をゆっくり回す
●手を肩にあて、肘を大きく回す(肩甲骨のストレッチ)
表情筋を鍛える
顔の表情と感情はリンクします。嬉しい時や楽しい時は笑顔になり、緊張や不安を抱える時は暗い表情になります。
感情によって表情が変わることが多いですが、その逆も可能です。
口角を上げる
鏡に映る自分が、可愛い赤ちゃんだと想像します。そして、両手を顔の側で動かしながら満面の笑みで、「に〜」と大きく声を出しましょう。口角が上がり、目の横にシワが入るくらいになればOKです。
これを3セット行います。そうすると、緊張や不安が改善され、少し明るい気持ちになるはずです。
自分の顔で上手くいかない方は、実際に赤ちゃんの写真や画像を見ながらやってみましょう。
より詳しい解説は下記のページをご覧ください。
【素敵な笑顔の作り方】1日1分であなたの第一印象がアップ!
ボイストレーニングで話し方を鍛える
ハキハキとした声、聞き取りやすい滑舌を身につけることで、堂々と自信を持って話すことができます。
声量をアップさせる
声を大きく出すためには、喉の中の声帯を閉じる筋肉を鍛えることが大切です。
「はっ!はっ!はっ!はっ!は〜!」と、声高らかに笑ってみましょう。いつもよりも大きな声が出るはずです。
その声を使って、「こんにちは!」「おはようございます!」など、挨拶の練習をし、普段の声も大きくなるように習慣づけていきましょう。
より詳しい解説は下記のページをご覧ください。
大きな声の出し方のコツ16選【小さな声を改善しよう】
滑舌を良くする
滑舌を良くするためには2つの要素が大切です。
●口を大きく動かす
口の動きが小さいと、母音(あ,い,う,え,お)が弱くなり、聞き取りづらい話し声になってしまいます。
鏡で大げさに口を「い,お」の順番で動かし、口の形を確認してみましょう。
メリハリ良く動くように練習してみましょう。
●舌をスムーズに動かす
舌の動きが鈍いと、ナ行,タ行,ラ行などの発音がうまくいきません。
奈良県の「なら」を連続で、「ならならならなら….」と、10回言ってみましょう。うまく言えない場合は、スピードをゆっくりにしてチャレンジしていきましょう。
他にも苦手な発音があるかもしれませんので、下記のページで確認してみてください。
【滑舌練習を大公開!】苦手な発音のトレーニングをしよう!
事前準備をする
スピーチやプレゼンの事前準備をしっかり行うことで、自信を持って本番に臨めるようになります。念入りに準備すればするほど、緊張緩和に繋がります。
伝えたいことを明確にする
「とにかくこれだけは絶対に伝えたい!」というポイントやメッセージを明確にしておきましょう。
聞いている人は、あなたの話を丸ごと全て記憶することはできません。
プレゼン等が終わった後に、「◯◯が大切なんだな」と、聞いている人が理解できていれば、少なくとも失敗ではないはずです。
事前に伝えたいことを明確にすることで、そのフレーズをたくさん用いたり、強調して伝えるようにもなります。
暗記する必要はない
話す内容を一語一句、暗記しようとする人がいますが、これはおすすめできません。
文章を読んでいるような口調になり、聞いている人からすると、かなり不自然な話し方になってしまいます。
また、どこかで言い間違えたり、言葉を忘れたりすると、より緊張が増してしまいます。
要点を箇条書きにしておく
本の目次のように、要点やキーワードを話す順番に箇条書きにしておきましょう。
練習では、その要点を見れば自由に話すことができる状態を目指します。
本番で言い回しなどが多少変わったとしても、伝えたいポイントや、全体の流れさえ正しければ、最後まで自信を持って話すことができます。
動画を撮影して確認する
事前の練習のやり方として大切なのは、本番で話す時と全く同じ状態で話すことです。
声の大きさ、スピード、目線、姿勢などを意識し、目の前に聞いている人がいるという設定で練習しましょう。
少なくとも、本番通りに3回以上は練習しておきましょう。
また、その時にスマホやビデオカメラで動画撮影をして、自身の姿を確認しておきましょう。
撮影しない時よりも、本番に近い緊張を感じると思いますが、これが良いリハーサルになります。
そして、聞き手と同じ感覚で自分の話している姿を確認することで、これまで気付かなかった自分の癖を発見できますし、「思ったほど悪くないな」と感じることができるはずです。
話す内容に集中する
本番で練習と同じように、自信を持って話すためには、話す内容に集中することが大切です。
「そんなこと当たり前」と思うかもしれません。
しかし、あがり症の人の多くは、話す内容ではなく、自分が周りからどう思われるかについて、頭がいっぱいになってしまいます。
「失敗したらどうしよう」「自分のはどんな評価を受けるのだろう」など、自分に対する意識が強いと、より緊張しやすくなります。
人前で話す目的やゴールを、「伝えたいことを伝える」とし、話す内容に集中することで、良い状態で話し続けることができます。
緊張したら、背筋を伸ばす
人は緊張したり、落ち込んで不安な気持ちになると、両肩が内側に入り、猫背になります。
逆に、背筋を伸ばすと、自己肯定感が強くなり、ボジティブな気持ちになります。
緊張してきたら、背筋をスッと伸ばし、視線を少し上に向けましょう。
人の話の聞き方を変える
これは自分が話す時ではなく、聞く側に回った時のアドバイスです。
「上手に話せていない」「硬くなっているな」など、厳しい目で人の話を聞く習慣を持っていると、自分に対してもハードルをあげてしまいます。
自分が話す時には周りの皆も、「上手に話せているか」「緊張していないか」という視点で話を聞いていると勘違いし、余計な緊張を引き起こしてしまいます。
人の話を聞く時は、できるだけ大きな心を持って、優しい表情で頷きながら聞きましょう。
そうすることで、きっと自分にも良い反応が返ってくるはずです。
あがり症は気にしなくてもいい
ここまでは、あがり症を克服する方法をお伝えしてきましたが、あがり症や緊張については必要以上に気にしなくて大丈夫です。
人前で話す時は誰だって緊張する
人前で緊張せずに楽に話せる人よりも、緊張してしまう人の方が圧倒的に多いです。
ですので、緊張している様子が相手に伝わったところで、珍しいことではないので、悪い印象を持つ人はほとんどいないでしょう。
「少し緊張しているのかな?」と思われる程度ですし、そのことをずっと覚えられることも、思い出されることもないはずです。
「この人、緊張してるな〜変な人だな〜」と思ったことなどありますか?たとえあったとしても、常にそのことを覚えていますか?
自意識過剰にならず、緊張したら、「大丈夫。周りは何にも気にしていない」と自分に言い聞かせましょう。
まとめ
- あがり症について理解しよう
- 身体をリラックスさせる
- 腹式呼吸をする
- 首と肩のストレッチをする
- 表情筋を鍛える
- 口角を上げる
- ボイストレーニングで話し方を鍛える
- 声量をアップさせる
- 滑舌を良くする
- 口を大きく動かす
- 舌をスムーズに動かす
- 事前準備をする
- 伝えたいことを明確にする
- 暗記する必要はない
- 要点を箇条書きにしておく
- 動画を撮影して確認する
- 話す内容に集中する
- 緊張したら、背筋を伸ばす
- 人の話の聞き方を変える
いかがでしたでしょうか?あがり症を克服して、人前で上手に話せるようになれば、本来の自分の力を大きく発揮できるようになるはずです。
しかし、一気に変わろうとしなくても大丈夫です。あなたにできることから、少しずつ取り入れてみてください。
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