- 研修講師をしている
- 人前で話す機会が多い
- 説得力のある、伝わる話し方を身に付けたい
オンライン話し方教室【ボイスプロデュース】代表講師の福永智樹です。
今年に入ってから、セミナーや研修講師をしている方のZoomレッスン申込が増えてきました。
近年、全国各地で研修やセミナーが多く開催されているので、自然な流れかもしれません。
研修講師として人前で話すということは、人に教えることができる何か特別なスキルやノウハウを持っているということでしょう。
しかし、だからと言って研修講師の全員が自分の声や話し方に自信があるわけではありません。
むしろで人前で話すようになってから、自分の声や話し方の弱点に気付いたという方が多いはずです。
そこで今回は、研修講師の話し方のコツに焦点をあて、人前で説得力のある話し方をするための方法について解説します。
- 原稿をつくる
- 短い文章を心がける
- 問いかけや質問を入れる
- 与えたい印象は見た目で表現する
- 受講生と目を合わせる
- ジェスチャーを入れる
- 緊張は悪いことではない
- 明るく大きな声で話す
- 背筋を伸ばし、姿勢を正して話す
- 少し遅めに話す
- 間をとってイメージさせながら話す
- 「え~」などの余計な言葉をなくす
- 分かりやすい言葉で話す
- 語尾は言い切る
研修・セミナーの構成・注意点
まずは研修・セミナーの準備についてお話しします。
やはりどれくらい準備ができているかによって、本番が成功するかが大きく変わってきます。
研修内容を考える時にはたくさんのコツがあります。
原稿をつくる
一字一句話す内容を決める必要はありませんが、慣れるまでは全体を通して原稿を作っておきましょう。
特に導入部分は必須で、導入部分でどのような話をするかによって、研修全体における受講者の理解度に影響が出てきます。
内容としては、あいさつ・自己紹介・今回のテーマなどが中心になります。
何となく適当に始めてしまうと、受講者が「学ぶモード」になっていないので、理解度が下がってしまいます。
研修を受けるとどうなるのか、何を得ることができるか、目的やゴールをしっかりイメージさせることが大切です。
導入部分は必ず何度も練習し、受講者全員が「学ぶモード」に入るように導いていきましょう。
短い文章を心がける
どちらの方が分かりやすいでしょうか?
①「話す文章はできるだけ短くして、受講者が理解しやすい状態で進めていくことが大切なのですが、ついつい長くダラダラと話して、結局何が言いたいのかが伝わらなくなってしまう人がとても多いです。」
②「話す文章はできるだけ短くしましょう。受講者が理解しやすい状態で進めていくことが大切です。しかし、ついつい長くダラダラと話して結局何が言いたいのかが伝わらなくなってしまう人がとても多いです。」
同じ内容ですが、実際に聞くと②の方が理解しやすいはずです。
今回は同じ言葉をそれぞれ使いましたが、ダラダラと区切りなく話してしまうと、余計な言葉が増えてしまうので、気をつけましょう。
問いかけや質問を入れる
セミナーでは講師が話し手、受講者が聞き手になります。
通常のコミュニケーションよりは一方的な状態です。
そうなると、中には集中力が切れてしまい、「聞いているフリ」をしてしまう受講者が出てきます。
そこで所々に問いかけや質問を入れていきます。
人は質問をされると無意識に答えを出そうとします。
「1+1は何ですか?」「好きな食べ物は何ですか?」と聞かれると、ついつい考えてしまいますよね?
今も心の中で質問に答えてしまっていると思います。
人は質問されると自動的に答えを探してしまう習性があるのです。
このようにしっかり話を聞いてほしい時は、問いかけや質問をして、受講者の意識をこちらに向けるようにしましょう。
聞かれているだけでなく、見られている
研修では、受講者は耳で聞いて情報を得ています。
しかし、人は耳からの情報よりも、目からの情報を優先する傾向にあります。
聞かれているだけではなく、見られているということも理解しておきましょう。
与えたい印象は見た目で表現する
あなたはどんな服装で研修に臨みますか?自分の好きな服装だとしたら、考え直した方がいいです。
受講者の立場になった時、どんな服装だと説得力が増すか考えてみましょう。
「こんな感じの人なら、今日は安心して話を聞けるな」と思ってもらわなければなりません。
そこを間違えてしまうと、研修が始まる前に受講者の心が離れてしまいます。
スーツがいいのか、カジュアルなものがいいのか、色は暗めがいいのか、明るめがいいのか、1ポイントで何か小物を使うのかなど、研修の内容に対して違和感のないものにしましょう。
「人は見た目で判断するな」と言う人もいますが、見た目と中身が一致していない人は稀なので、大抵の人は見た目で判断してしまうものです。
受講生と目を合わせる
受講者の人数によっても変わりますが、研修の中ではできる限り受講者と目を合わせながら話しましょう。
講師と目が合うだけで、「しっかり聞こう」という心理が働き、距離が縮まります。
どこを見て話せばいいかわからない人は、研修を通して受講者全員と目を合わせることを目標にしてみましょう。
ジェスチャーを入れる
話しているときに、全く動かずビシッとしていると不自然です。適度にジェスチャーを入れていきましょう。
人を惹きつける話し方をしている人は必ずジェスチャーを使っています。
ジェスチャーを入れながら話すことで、話し方の抑揚が滑らかになるという効果があります。
鏡の前で話すか、録画するなどして、自分がどんなジェスチャーをしているか、事前に確かめておきましょう。
もしかすると、自分では気づいていなかった「変な動き」もあるかもしれません。
誰もが自分の姿を客観的に見ることになれていないので、動画を確認するのに躊躇してしまうかもしれません。
「見るのが恥ずかしい」という人も多いです。
しかし、「恥ずかしい」と感じてしまう姿を周りの自分以外の人にはいつも見せているのです。
動画を確認して、「このように見られているのなら恥ずかしくない、問題ない」と自信がつくまで、改善を重ねるべきではないでしょうか?
研修で緊張はつきもの
人前で話すと緊張してしまう人はとても多いです。
緊張は悪いことではない
緊張するということは必ずしも悪い面ばかりではありません。
緊張するということは、研修に対する気持ちが強いということです。
もしセミナーが自分にとって、「どうでもいいもの」や「失敗しても問題ないもの」ならば、さほど緊張はしないはずです。
私の場合、セミナーで緊張した時は、「こんなに緊張するくらい自分にとってこのセミナーは大切なんだ。
これまでよく準備をしてきた。絶対に成功させて受講者の皆さんに喜んでもらおう」と、緊張している自分を認めたり褒めたりしています。
そうすることで気持ちが高まり、受講者にも熱が伝わるようになったと思います。
このように、緊張をプラスにとらえることも大切なのではないでしょうか。
また、緊張をほぐす方法 中には緊張しすぎて声が震えたり、顔がこわばったりしてしまい、自分の思うように話せなくなる人もいます。
そんな時は上記のようにプラスにとらえることはなかなかできないので、緊張のほぐし方をご紹介します。
心に緊張を感じてしまうと、呼吸が浅くなる・汗をかく・手がふるえる・表情がかたくなる・声が震えたりだしづらくなるなど、身体にも緊張が表れてしまいます。
これは頭と身体の状態を一致させようとする、脳のメカニズムによるものです。
レモンや梅干を見たりイメージすると、唾液が出ることがありますよね?
緊張もこれと全く同じで、頭の中が「緊張」に支配されると、自動的に身体も反応してしまいます。
緊張をほぐすには、頭の中をリラックス状態をにする必要があります。
簡単な方法としては、自分がリラックスできる映像や写真(大草原やペットの犬など)をイメージして、大きく深呼吸する。これだけです。
リラックスした状態をイメージすると、生理的な反応として身体もリラックスして緊張がほぐれていきます。
これは気休めや気の持ちようなどではなく、あくまでもメカニズムなので効果抜群です。
研修講師の話し方のコツ
いくら良い内容だったとしても、声や話し方に問題があれば、セミナー受講者に伝わらなくなってしまいます。
どんな声で、どのように話していけばいいのか、ポイントを分けながらお伝えしていきますね。
明るく大きな声で話す
1対1で話すときには暗く小さな声でも相手に届くかもしれませんが、セミナーのように1対多数のときにはそうはいきません。
話している声が聞こえない、聞き取りづらいといセミナーが台無しになります。
普段よりも明るく大きな声を基本に話していきましょう。
背筋を伸ばし、姿勢を正して話す
人は身体の使い方によって声の出し方に影響が出てきます。
猫背になり目線が下向きのまま声を出すと、暗く低めの声に。
また、背筋を伸ばし目線が少し上向きのまま声を出すと、明るく高めの声になります。
また、猫背になるよりも、背筋を伸ばしている方が自信を感じられるなど、印象も良いはずです。
少し遅めに話す
人前で話すと自然に早口になってしまう人が多いです。
おそらく、緊張によって心のどこかに、「早く終わりたい」という意識があるからでしょう。
しかし、早口になってしまうと滑舌が悪くなったり、受講者がイメージをしながら聞くことができなくなるので、いつもよりも少し遅めに話す必要があります。
スマホのボイスメモやICレコーダーを使って自分の話すスピードを事前に確認しておきましょう。
そして本番は少し早くなりやすいので、「練習よりもゆっくり」を意識して話しましょう。
間をとってイメージさせながら話す
「え~」などの余計な言葉をなくす
「え~」や「あの~」などの余計な言葉を多用してしまうと、受講者は内容ではなく、その言葉に気を取られてしまいます。
普段話している時にはあまり使っていない人も、「人前で話す」という特別な場面になると、ついつい言ってしまうことがあります。
これについては事前に練習する時にスマホなどで録音して、確認しておきましょう。
余計な言葉を言ってしまう原因としては、早口になっていること、、話す内容が整理できていないことなどがあげられます。
早口になってしまうと、思考のスピードも上げなければ、次に出てくる言葉が追いつかず、不自然な間ができてしまい、それをごまかすために無意識に「え~」などを言ってしまいます。
全く0にするのは困難かもしれません。
まずは上記に述べたように、少し遅めに話す練習をしておくと、感覚をつかめるようになります。
分かりやすい言葉で話す
セミナーではできるだけ分かりやすい言葉を使いましょう。
固い言葉が連発してしまうと、受講者の頭の中は「?」でいっぱいになってしまいます。
できるだけ、小中学生でも分かるような言葉を使うようにすると、受講者の理解度が上がります。
自分と同じ分野の仕事をしていて、共通の専門用語を普段から使っているような受講者ばかりのセミナーでない限りは、使う言葉にも意識を向ける必要があります。
語尾は言い切る
講師と受講者は学校の先生と生徒のような関係です。
講師が「~だと思います」など、曖昧な表現ばかり使っていると、説得力が出てきません。
仮に受講者全員が自分よりも年上だったとしても、講師はその分野では先輩なわけですから、頼りない印象にならないように注意しましょう。
同じ内容でも、自信がなさそうな講師と、自信に溢れた講師とでは、受講者に与える印象も影響も大きく違ってきます。
まとめ
- 原稿をつくる
- 短い文章を心がける
- 問いかけや質問を入れる
- 与えたい印象は見た目で表現する
- 受講生と目を合わせる
- ジェスチャーを入れる
- 緊張は悪いことではない
- 明るく大きな声で話す
- 背筋を伸ばし、姿勢を正して話す
- 少し遅めに話す
- 間をとってイメージさせながら話す
- 「え~」などの余計な言葉をなくす
- 分かりやすい言葉で話す
- 語尾は言い切る
世の中にはたくさんの研修講師がいますが、内容だけに意識が向いてしまっている人が多いかもしれません。
しかし、「内容が良い」というのは当たり前の最低条件です。
受講者が理解できるように、それをどう伝えるか、どんなことに気をつければいいのか、事前に考える必要があります。
もし初めての研修だったとしても、それは言い訳になりませんし、受講者には関係ありません。
講師として話す以上、受講者と真摯に向き合う責任があります。
私も研修やセミナーを開催することがありますので、受講者にとって有意義なものになるように、事前準備に熱を入れていきたいと思います。
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